民話がすき 2
そこで家にもどって、
「あにい、あにい、あの和尚さんは、和尚さんといえばガァ、和尚さんといえばガァというばかりで、しまいにはガアガアいうて飛うで行ったが」
というと、
「ばか、あれはカラスというもんじゃ、大ばか」
とぶっついは怒っていいました。そして、
「今度もういっぺん行たてこい。和尚さんはネ、頭はキンカンのくりくりじゃ。寺におわんときゃ川のほとりにおっから。」
「はい。」
そこで、くわったいがまた寺に行ったところが、近くの川のほとりに、ひょうたんがぶらさがっていましたので、
「頭はキンカンのくりくり、和尚さんはこれじゃ」
と思って、
「和尚さん」
といって押したところが、ぶらりぶらりとゆれるばかりで返事がありません。また、
「和尚さん」
いっこうに返事はありません。それで家にもどって、
「あにい、おしょうさんがおったばって、ぶらりぶらりするばっかりで、和尚さんというても返事は一つもせんじゃったが。」
「和尚さんは何をしていやったか。」
「こげんして、木にぶらさがっちょった。」
「ばか、あれはひょうたんというもんじゃ。今度はおれが行たてくいから、おまえはここに、たった茶碗一つ米があるから、和尚さんにたいてあげんとならんから、この米をたいてくれ。
そしてぶっついくわったいいうときゃ、火をひけよ」
といいつけて、兄のぶっついは寺に行きました。
弟のくわったいは兄のいいつけどおりめしをたいていますと、やがて、
「ふっついくわったい、いふっついくわったい ぶっついくわったい、ぶっついくわったい」
とたぎってきました。そこで、弟のくわったいは、
「わや、ぶっついくわったい、ぶっついくわったいと、あにが名とおいが名をいうがけしからん」
と灰をいっぱいつかんで、飯の中にパッと投げこんでやりました。
そしてふたをしてあったところが、兄が和尚さんをつれてもどってきました。
「くわったい、和尚さんにあげる飯はでけたか。」
「うん、でけた。じゃばって、この飯はぶっついくわったい、ぶっついくわったいと、あにいが名とおいが名をいうもんじゃから、灰を投げこんでやったが。」
「ばか、ほんの大ばか、そしこしかなか米を、いけんすっとか。和尚さんにあぐるもんがなかが。」
しかたがないので、和尚さんには何もあげないで葬式をすませましたが、ふと兄のぶっついは、
「あ、そうじゃった。忘れてあった。二階のすみに焼酎がめを一つあいてあった。
おれが上からおろすから、くわったいおまえは下にあってかめの尻をかかえちょいよ」
といいました。それから兄のぶっついが上にのぼって焼酎がめを持って、
「くわったい。」
「はい。」
「おまや、尻をかかえているか。」
「はい。」
そこで、ぶっついがかめをおろしたところが、かめは下にすとんと落ちてわれてしまって、焼酎はぐわさあっとこぼれてしまいました。
「こア、くわったい、どういうことか。おまや、尻をかかえておったか。」
「こア、見てみれ、尻をかかえてるが。」
くわったいは両手をうしろにまわして、自分の尻をかかえているのでした。
「大ばか作、もうしかたはなか。和尚さんにあぐいもんなもう何もなか。」
すると和尚さんは、
「よかよか、なかときゃよかかア」
といいましたので、それですんだそうです。
おしまい。
ちなみにこの民話は屋久島ツアーでおなじみ、屋久島の民話です。